医薬品の開発プロセス その1

医薬品の開発プロセスは、大まかに次の4つの段階にわけることができます。

それぞれのステップに必要な期間はプロダクトによって異なりますが、これら4つの段階を通算した新薬開発に必要な期間は10-20年にものぼると言われています。また、医薬品としての承認を受けるには、上記プロセスと並行して製剤の製造工程も確立しなければなりません。


1.基礎研究 Research

新薬開発は、新たな医薬品になる可能性を持つ候補物質を探す基礎研究のステップから始まります。何百万種類という合成あるいは天然の化合物群の中から目的の効果を持つ低分子化合物を探し出すハイスループットスクリーニング法が新薬候補物質探索の代表的な方法ですが、近年は創薬研究のアプローチ方法が多様化しており、ターゲットタンパク質の働きを阻害する抗体を利用する方法、核酸を用いて特定の遺伝子の働きを抑える方法(RNAiやアンチセンス)など、様々な手法による新薬候補物の創出が試みられています。


2.前臨床試験 Pre-clinical

基礎研究で発見された医薬品候補物質の効果や安全性のプロファイルを、マウスなどの動物や細胞を用いた試験で確認するステップです。疾患モデル動物で薬効を試したり、複数の動物種(マウス・ラットなどのげっ歯類、イヌやサルなどの大動物)で安全性データを取ったりします。この前臨床試験のステップで、医薬品として有用となりうる可能性が示され、さらに安全性も許容できる範囲であると判断された候補物質のみが次の臨床試験の段階に進むことができます。

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3.臨床試験(治験) Clinical trial

医薬品の安全性と有効性を実際にヒトに投与して確認するための試験を臨床試験(治験)といいます。前臨床試験までは、開発を手がけている企業(製薬会社やバイオベンチャー)が主体となって行われますが、臨床試験の実施には医師の協力が必要となります。新薬として期待される効果や予想される安全性の程度を医師に十分理解してもらった上で、実際に当医薬品候補物質を病院で試験的に使用してもらうことになります。

臨床試験は、第1相試験(フェーズ1)、第2相試験(フェーズ2)、第3相試験(フェーズ3)の3段階に分けて行われるのが通常です。

第1相試験(フェーズ1)

当医薬品候補物質を健常人(健康な人)に投与し、安全性を検討します。どんな物質も大量に投与すれば体に悪影響が出ますから、最大許容投与量(どれぐらいの量までだったら安全性が担保できるか)を見極めることが重要なポイントになります。また、薬物動態(投与量と血液中の薬物濃度の関係など)も重要なデータになります。

第2相試験(フェーズ2)

実際に病気を患っている患者さんに当医薬品候補物資を試験的に使用してもらい、有効性と安全性を検討します。フェーズ2試験は少なくとも2つの試験を行うのが通常で、先に行う試験をフェーズ2a試験、後に行う試験をフェーズ2b試験と呼んだりします。フェーズ2a試験で用法用量(1日1回処方にするのか1日2回処方にするのか、1回の処方量をいくらにするか、など)を検討し、フェーズ2b試験にて適正と思われる用法用量での効果と安全性を再確認する、といった流れになります。

第3相試験(フェーズ3)

より多くの患者さんに投与を行い、効果と安全性の確認を行います。


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