財務内容

赤字でも気にする必要はない

バイオベンチャー、特に創薬ベンチャーは設立から当面の間は研究開発が事業の中心となります。研究開発段階においては基本的には製品売上はゼロですから、使った費用分だけ赤字になります。臨床試験の段階に入れば、少なくとも数億円レベル、多ければ数十億円の赤字(損失)を計上することもあります。赤字だからといって倒産するわけではありませんし、赤字になる前提で研究開発を進めているわけですから、その点は気にすることはありません。


重要なのは研究開発のための資金が確保されているか

バイオベンチャーの財務状況で最も重要なポイントは、研究開発を進めるための資金を保有しているのかどうかという点です。資金が確保できなくなると、事業の核である研究開発が進められなくなるからです。しかし、単に資金の量だけをみても、その資金量が適正かどうかはわかりません。事業を進めるのに必要な資金がどれぐらいなのかという点も、合わせて理解する必要があります。

バイオベンチャーは、「1〜2年研究開発を進捗させる ⇒ その成果をもって資金を調達する ⇒ 調達資金で1〜2年研究開発を進捗させる ⇒ 資金を調達する」というサイクルを繰り返しながら開発を進めていきます。よって、資金の量に加え、今そのバイオベンチャーがこのサイクルのどの位置にいるのか、次の成果を出せるまでの資金量を持っているのかを合わせて考える必要があります。あまり資金を持ってなかったとしても、その企業はまさにこれから資金調達をしようとしている段階にいるかもしれません。その場合は、その時点までにしっかりした研究開発成果を出しているのかどうかが大事になります。

資金の状況を知るために会社に質問するとすれば、「現時点でいつまでの研究開発資金を確保しているのか、次の資金調達までにどういう研究開発成果を出すことを目標にしているのか」といった内容がいいと思います。資金状況に加え、会社が当面目指すべき研究開発上の目標も聞くことができます。単に資金を持っているかどうかではなく、この質問に対して納得できる説明がなされるかどうか、そこも重要なポイントになるでしょう。


補足説明になりますが、バイオベンチャーの資金調達方法としては次のようなものがあげられます。

ベンチャーキャピタルから資本として調達

ベンチャーキャピタルは成長性の高いベンチャー企業への投資を行っている金融機関です。彼らは、事業リスクが高く銀行が資金を融資できないような会社にも投資を行います。ほとんどのバイオベンチャーがベンチャーキャピタルから資金を調達しており、その調達は50億円以上にもなる場合もあります(医薬品の開発には数十億円の資金が必要)。


公的機関の助成金(補助金)

厚生労働省、経済産業省、文部科学省、NEDO、地方自治体などが主管となり、様々な助成金(補助金)の制度が設けられています。バイオベンチャーは医療、学問、新事業のどの要素も持っているので、対象となる助成金も数多くあります。金額も大きいものでは年間1億円レベルになります。


製薬会社からの共同研究、ライセンス収入

研究開発の途中段階で製薬会社と提携することによって収入を得る方法です。製薬会社と提携が成立しているバイオベンチャーは、その道のプロから一定の技術評価をされているともいえるでしょう。